![]()
ネコは一日に十九時間寝ているといいますが、ジャムもそれに負けないぐらい、よく寝ています。私が家にいても、よく寝るのですから、私の外出している昼間は、全く動かないのかもしれません。
完全なる“自由保育”で育て、しつけゼロできましたので、名前を呼んでも、やってくるかどうかは、ジャムの機嫌次第なのです。すやすや寝ているところを抱き上げようとした場合、まるで死体のように全身の力が抜けているのは機嫌のいいときで、そんなときは、すべては私のなすがまま。しかし、触ったとたんにガブッときて、指先から血が出ることも十日に一度はあります。妻は「ジャムを抱き上げるのは命がけ」と言っているくらいです。
私が留守だと、とにかく、いい子でおとなしいのです。要するに元気がないらしいのだと思いますが、何をしても吠えられたり、かまれたりすることがないようです。しかし、そんな“優等生のジャム”を私自身は見ることができません。
妻や長男に言わせると「お父さんが帰ってくると、ジャムは急に威張り出す。後楯がいると威圧的になるのだから、まるでヤクザだ」ということになります。私とジャムが一緒にいるときに、私に近付いてきたり、話しかけてくるのは危険で、吠えかかり、かみつくこともあります。私を守っているのか、それとも私を独占しようとしているのか、どちらかなのでしょう。
ジャムは起きているときは、必ず何かをしようとします。そして、そのほとんどはイタズラで、人の関心を引こうとして、実に様々なイタズラをするのです。最近ジャムが熱心なのは本をかじることで、私の愛読書のほとんどは、すでに表紙が破られてしまいました。「ついにジャムは読書家になった」と私が言うものですから、家人は「親バカにも程がある」と批判してきます。
昨秋、知人に誘われて長野県の上田へキノコ狩りに出掛け、帰ってきて台所で「このキノコ大丈夫かな」と調理していましたら、ジャムが、どこからか「食べられる山野草、キノコ」という本をくわえてきて、かじっていました。本当に人の気持ちがわかる犬なのです。
(この原稿は文京動物愛護協会平成13年3月10日「動物と住む街」に寄稿したものです)