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前総務大臣・元法務大臣 鳩山邦夫 -正義の実現-

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「ジャムと私」
愛犬ジャムへの想いを書き綴ったエッセー
 
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第11回「ジャムの経済学」
 
 

 私のジャム病は、ますます重くなってきているようで、“病膏肓に入る”状態である。ジャムがシャンプーブローや予防注射で出かけてしまうと、たとえ家族が4人、秘書が4人ぐらい家の中に居たとしても、まさに世界中の“灯が消えた”ように感じられて、私の元気は全くなくなってしまうのだ。

 ジャムもそろそろ十一歳。妻は「ジャムがいなくなったら、どうするの」と、いやなことをいう。「殉死する」とか「ジャムのクローンを作るのに大金を注ぎ込み、子どもに残す資産をゼロにする」とか答えている。

 先日、地元の星合病院の院長先生が会長をつとめている日本スピッツ協会の新年会に出席し、“ジャムのクローン”の夢を話したところ、スピッツ狂のみなさんから「そうなのよね。新聞やテレビでクローンの話題を見るたびに、うちの愛犬のクローンを作れたらと思ってしまうわ」と、賛同の声が相次いだ。

 特定の愛犬への思い入れが一定以上強くなってくると、みな一様にクローンの夢を思いえがくようだ。そう、私も極めて常識的なことを考えているだけだと納得した。

 ハムやソーセージ、あるいはクッキーやせんべいを与えると、しばしば、ジャムは、それを宝物として隠し、近付いてくる家人に吠えたり、咬みついたりするゲームに興じるのだ。その話は、前に書いたことがある。

 その習性は、今でも変わらないが、最近、ジャムは物々交換の妙味を覚えたようだ。靴や本、ペン、容器などを、どこからか、くわえてきて、台所の自分の定位置(小さなフトンがしいてある)で、これみよがしにかじり始める。すると家人が、それを取り上げようとするが、素手でジャムに挑めば咬傷を受けるのは必至なので、チーズを渡して、ジャムがチーズを食べている間に、物品を取り上げる形のなる。こんなことが続いているうちに、最近のジャムは、チーズやお菓子を食べたくなると、家中を探して何か持ってくるようになった。薬だったり、昆布だったり、インスタントラーメンであったりする。そこには一種の経済観念、つまり物々交換の思想が働いている。ジャムが持ってくる物品は、要するにチーズやお菓子を買うためのお金なのだと、最近は、よくわかるようになった。

 風呂場から石けんをくわえてきて、仕方ないのでチーズを与えて、石けんを戻す。翌日は、又、同じ石けんを持ってくるので、チーズを渡す。ジャムは同じお金を何度でも使っている。

(この原稿は文京動物愛護協会平成14年3月10日「動物と住む街」に寄稿したものです)

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