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ジャムは太目だから、歩くのが苦手である。私自身の健康管理も考え、先日の日曜日の昼下がり、散歩に連れ出した。
山手線沿いに駒込駅から巣鴨駅前まで行く。巣鴨駅前には大勢の人たちがいた。ジャムは、もう相当疲れていて、ゴホゴホいいながら、しかもうつ向き加減で引っ張られるようにして歩くものだから、「かわいそうに、だっこしてあげたら」と三、四人のギャラリーから声がかかった。ジャムの様子をよく見てみると、たしかに、あわれっぽく見えるのだ。家の中で、とりわけ私のベッドの上で王様然として威張っているのと正反対の態度を示している。選挙でいえば、同情票まちがいなしの感であった。
散歩をしていると、ほとんどの人が、ジャムを幼犬だと思うようで「まだ小さいのでしょう」と呼びかけられる。顔は本当に子犬っぽく、それがジャムの魅力の一つだが、実はもうじき十二歳になろうとしている。
私が台所に居て、ジャムが玄関や居間のざぶとんの上にいるような状態だと、やたら吠えまくることがある。とりわけ私が肉を料理して、そのにおいに反応して吠え始めることが多い。
みなさんは、どうして吠えるのかわかりますか。肉をくれといっているのではなく、「迎えに来い」という意思表示だ。だっこして、台所まで連れて行き、そして肉を食べさせろと総合的な要求をしているわけで、ただ、「だっこして」だけのこともある。雰囲気としては、「だっこして下さい」と甘えている感じではなく「だっこしろ」と私の命じている感じなのだが、威張り屋・ジャムの特徴だ。
新聞でクローンの話を読むたびにジャムのクローンがいたらなあと思ってしまう。十二歳になろうという年齢のこともあり、意外と真剣に考えている。「ジャムのクローンを、一度に十頭ぐらい作れるのかな」という私に、家の者たちは、ジャムにかまれて計十五針ぬった私なので、「百五十針の大手術になる」と口を揃えるのである。
私のクローンとジャムのクローンが二十二世紀になっても仲良く暮らす、そんな夢を見てしまう。
(この原稿は文京動物愛護協会平成15年3月10日「動物と住む街」に寄稿したものです)